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思わぬ味方を得て 1

Penulis: 花室 芽苳
last update Tanggal publikasi: 2026-01-08 23:37:38

「……それで、問題だった商談の方も上手く纏まったんですね? 朝陽《あさひ》さんが間に合ったことで、大事にならずに済んだみたいで本当に良かったです」

 実家に帰った次の日、仕事の休み時間に朝陽さんと昨日の件について話をしている。こちらに戻ってきて彼はそのまま仕事先へフォローに向かったのだけど、色々と問題があったらしく今日までかかってしまったそうだ。

 けれども大きな損失などは特に出ていないらしく、ホッと胸を撫で下ろしていたところで。今の私に出来ることは何もないが、いつかは彼を支えられる様になりたいという気持ちは強くなる。

「ああ、ご両親には俺からもきちんと謝っておくつもりだ。本当に鈴凪《すずな》のお父さんとお母さんは良い人達で、これからは俺も含めて仲良くしてもらえたらと思ってる」

「大丈夫ですよ、みんな朝陽さんのことを認めてくれてましたし。母なんて早く結婚式の招待状を送れって、それはもうしつこいんですから」

 実家を出る前に家族が言ってくれた言葉も嬉しかったが、朝陽さんが心からそう思っていてくれる事にも喜びで胸がいっぱいになるようで。まだ色んな問題は残っているけれど、今の時点でこんなに
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     ****** 白いタキシード姿の新郎が待つ祭壇へと続くバージンロードを、純白のドレスを着た新婦が父親のエスコートを受けてゆっくりと進んでいく。 厳かな雰囲気の中でも美しいその鈴凪《すずな》の花嫁姿に、誰もが見惚れそして感嘆の声を上げた。「雨宮《あまみや》さんの花嫁姿、凄く綺麗だわ。新郎もかなりのイケメンだし、二人共とてもお似合いよね~」 「もう……轟《とどろき》さんってば、まるで娘を嫁に出したみたいに感動しちゃって。でも分からなくはないです、本当に素敵な結婚式なんだもの」 鈴凪が務める会社の先輩である轟は意外にも涙脆いらしく、ハンカチを持った手でその目元を押さえているようだ。そんな彼女に苦笑いを浮かべつつも、同僚の女性スタッフも式の素晴らしさに感動している。  その向かい側には鈴凪の母と兄が並んで座っており、母は娘の美しい花嫁姿に嬉し涙を浮かべかけていた。それでも彼女の兄である響《ひびき》は朝陽を睨んでブツブツと何かを呟いているが、それもたった一人の妹が可愛いからなのだろう。「悔しいけれど……今日の鈴凪は、今までで一番綺麗で幸せそうに見えるな」 「そうね、あの子の花嫁姿が見れて私も本当に嬉しいわ」 「はあ、アイツめ……鈴凪を誰よりも幸せにしないと、絶対に許さないからな」 そうしてその奥の席には離婚の危機を何とか回避したらしい、朝陽《あさひ》の父である幹臣《みきおみ》と妻の月子《つきこ》も二人で並んで座っている。彼らの息子が浮かべる柔らかな笑みを見たことで、やっと心から二人の結婚を喜ぶことが出来たようだった。「本当に朝陽のあんな幸せそうな笑顔を見るのは久しぶりですね」 「……ああ、そうだな」 今まで目を背けてしまっていた家族の関係をもう一度しっかりと築く、そう約束した幹臣の言葉を信じる事に決めた月子。彼女は長年連れ添ったその夫に、静かに寄り添うように座っていた。  そして少し離れた席に並んで座っているのは、スーツ姿の白澤《しらさわ》と淡いブルーのドレス姿を着た紫苑《しおん》で。美しい花嫁となった鈴凪を見て、紫苑はやや興奮気味に白澤へと話しかけている。「……なあ、白澤。この美しい鈴凪の花嫁姿を見て、どうにか記念に残してみたいとは思ったりはしないか?」 「そうですね、一生の思い出として残るようにプレゼントしても良いかもしれません」 紫

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    「それと、ここからは梨乃佳《りのか》についての話になるんだが……」 当初は全ての容疑を否認していた鵜野宮《うのみや》さんだったが、少しずつ自分のしたことを認めて時折反省の言葉も口にしているそうで。 一番意外だと思ったのは、彼女が本当に計画していた内容についても素直に話すようになった事だった。 事件の日に鵜野宮さんが朝陽《あさひ》さんをあの場所に案内したのは、私が流《ながれ》とヨリを戻して親密な関係になった様子を朝陽さんに見せつけるためだったらしい。 強引にでも流が私との既成事実さえ作ってしまえばどうとでもなる、そう考えての事だったと。想像すると恐ろしい話だが、それも失敗に終わったからあんなに焦ってたのかもしれない。「やっと一歩前進したって感じですね、まだこれからの事も多いとは思いますけど」「彼女がそこまで認めたのは大きな進歩だと思いますよ、正直あんな性格ですからずっと否認し続けてもおかしくはなかったですし」 白澤《しらさわ》さんは当初から鵜野宮さんに対してやや冷たい感じがするが、彼女の態度を考えればそれも仕方ない。好き嫌いは見せないタイプかと思っていたが、意外とハッキリしてるのが逆に面白くもある。「……確かに、そうだったかもな。でも最後の鈴凪《すずな》との直接的な関りが、梨乃佳の心の何かを変化させたのかもしれないとは思ってる」 そう言われても私は鵜野宮さんに何かをしたわけではない、彼女に対し言いたい事をハッキリと言葉にしただけ。それもあの時の鵜野宮さんには、あまり響いてるとは感じなかったのだけど。 それでも私の言葉は彼女の心境を変化させるような、何かしらの効果があったのだろうか?「え? ……私が、ですか?」「本人は無自覚でしょう、それも鈴凪さんの良いところではありますが」「ははは、それはそうだな~」 無自覚って、何だか私だけ除け者にして二人だけで通じ合ってないですか? こういう時だけ妙に気の合う様子を見せる朝陽さんと白澤さんに、少しだけ嫉妬してしまう。「……え? これってもしかして、私は今お二人に揶揄われてたりするんでしょうか?」「さあ、それはどうだろう」「さあ、それはどうでしょうね」 この男共は、こんな時に限って二人で揃ってドSな本性を見せてくる。ああ、本当にタチが悪い! 楽しそうな二人に、ムキになった私の不満をぶつけても笑われ

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     それから数日も過ぎてしまえば、何事も無かったかのように落ち着いたいつもの生活に戻ったのだけれど。あの出来事が私の記憶から消える訳でもないし、夜中に何度か夢で見る事もあった。 朝陽《あさひ》さんはそんな私を心配してか、マンションにいる間はずっと傍にいてくれて。私はそれで十分だったけれど、彼はまだ気になっているようで私に訊ねてくるのだ。「本当にあの事件の事を公に公表しなくても良かったのか? アイツらが警察に捕まったとはいえ、今もまだ鈴凪《すずな》が攫われたことは隠されたままなんだぞ」「それはいいんです。私はこうして元気ですし、これ以上大事になれば朝陽さん達に迷惑がかかる可能性だってあるんですから。本当にそんな事は望んでないんですよ」 私としてはあの事件に関して、必要以上に表沙汰にするつもりはない。朝陽さんはそれが不満だったようだけれど、色々な事を考えた上でちゃんと決めた事だから。 私がそう答えると、渋々といった感じではあるが最終的にはこちらの意見尊重してくれるのだ。「鈴凪がそういうのなら、俺はこれ以上は口出ししないが……」「ふふふ。ありがとう、朝陽さん」 こんな私達の会話を聞きながら黙ってティーカップを傾けている白澤《しらさわ》さんは、いつも通りマイペースなようで。それでも彼やシオさんには凄く助けてもらって、今でも感謝の気持ちしかない。「そういえば、白澤さん達の事情徴収は全て終わったそうですね? 本当にお二人にも迷惑をかけてしまって」「鈴凪さんは被害者なのですから、私達に謝る必要なんてありませんよ。それに紫苑《しおん》も貴女のためならと、全く苦ではなかったようですし」 あの事件があった後、心配するシオさんからは何度もスマホにメッセージをもらった。励ましや労わりの言葉、そして前向きになれるような面白い画像まで。本当に嬉しくて、荒んだ心も全部満たされるようだった。「……それなら良かったです、シオさんにもまた会いに行きたいな。以前交わした、お茶の約束もまだですし」「そうですね、鈴凪さんと会えれば紫苑もきっと喜ぶでしょう」 そういえば私が攫われる前に、シオさんが白澤さんと二人きりで話した内容はいったい何だったのだろう? ふと思い出しそのまま黙ってしまうと、その様子を見ていた白澤さんが不思議そうな顔をしてしまって。「……鈴凪さん、どうしましたか?

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     《ピリリリリリ、ピリリリリリッ……》 朝から鳴り響くスマホの着信音で目を覚ます。 今日は休日のはずなのにどうして起こされなくてはいけないのかと、苛立ちながらスマホのディスプレイを確認する。時計を見ればまだ午前八時前、しかも画面に映された番号は未登録で全く身に覚えがない。 無視してもう一度寝ようとするが、何度も繰り返されるコール音に否が応でも起きるしかなかった。「……もしもし?」『もしもし、雨宮《あまみや》 鈴凪《すずな》さん? いきなり掛けてごめんなさい、私は長谷川コーポの大家なんだけど……貴女が守里《もりさと》 流《ながれ》さんの保証人になってる雨宮さんよね?』 なるべく低い

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    「……すみません、シャツ汚しちゃって」 無言で慰めてくれたいた神楽《かぐら》 朝陽《あさひ》、いつの間にか私は彼のシャツを掴んで泣きじゃくってしまっていたらしく。 申し訳なさから、彼と顔を合わせる勇気もなくそう謝ったのだが……「別に構わない、貴女に請求する迷惑料の中にちゃんと付け加えておくから」「め、迷惑料っ!? いったい何のことですか!」 まさかそんなことを言われるなんて思っていなかった私は、驚きで今度は神楽 朝陽のスーツのジャケットを掴む。 だって、そんな……? すると神楽 朝陽は、かけていた眼鏡のテンプルを指でつまんで外す。眼鏡姿も似合っていたが、外すと彼はまた違った

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